改正入管法が施行されたことで、外国人労働者の採用と助成金はどう変わる?

2019年4月、改正入国管理法が施行されました。この改正により、外国人労働者の扱いが大きく変わりました。

これまでは、教育実習生として外国人労働者を雇用するだけであり、人材不足の解消に役立てることが難しかったのですが、改正によって特定技能ビザが新設されたことで、外国人労働者を人材不足解消に役立てやすくなったのです。

本稿では、改正入管法の変更のポイントそれに伴って適用が拡大された助成金制度について解説していきます。

日本経済が直面する困難

日本では、人口の減少が大きな問題となっています。特に、人口が減少すれば生産年齢人口も減少するため、経済の停滞・後退が懸念されています。

日本の将来推計人口を見ても、日本の生産年齢人口は、1970年には7212万人(全人口の68.9%)であったものが、2060年までに4418万人(全人口の51.0%)まで減少するとみられています。

人口に関するデータをもう少し詳しく見てみると、以下のようになっています。

【1970年】
14歳以下人口:2515万人(全体の24.0%)15~64歳人口(生産年齢人口):7212万人(全体の68.9%)65歳以上人口:739万人(全体の7.1%)

【2060年】
14歳以下人口:791万人(全体の9.1%)15~64歳人口(生産年齢人口):4418万人(全体の51.0%)65歳以上人口:3464万人(全体の39.9%)

このデータをみれば、かなり深刻な問題であることが分かるでしょう。

生産年齢人口が減少し、労働力が不足し、経済成長が停滞・後退するだけでも大きな問題ですが、非生産年齢人口の推移も問題です。

将来的に生産を担っていく14歳以下人口が著しく減少しており、また将来的に生産を担うことができない65歳以上人口が著しく増加しているのです。

出生率は低下し、死亡率は上昇している日本では、生産年齢人口は減少し、非生産年齢人口(特に高齢層)が増加していくことは間違いありません

「産めよ増やせよ」で打開できる問題ではなくなっているのです。

外国人労働者の受け入れが必要

したがって、日本経済を立て直し、将来における大きな問題を未然に防ぐためには、外国人労働者の受け入れが不可欠と言えます。

日本国内で、日本人の生産年齢人口が増えないのですから、外部から労働者を受け入れ、生産年齢人口を増やすという考え方です。

政府も、外国人労働者の受け入れを重視しています。

現在、日本の企業はまだまだ外国人労働者の受け入れに消極的であり、安価な労働力とみなされる傾向があるのだ。

そのような風潮・環境の是正のために、政府は、外国人労働者の受け入れに伴って助成金を支給したり、法律を改正したりしています。

すでにご存じの方も多いと思いますが、2018年12月にも改正出入国管理法(以下、入管法)が公布され、今年4月から施行されました。

日本の置かれている状況や、将来的な見通しを考えると、中小企業でも外国人労働者の受け入れを真剣に検討しなければならない時期にきています

このため、改正された入管法がどのようなものであるか、雇用や助成金にどのような影響を与えるのかなどを知っておき、今後の取り組みを考えていく姿勢が重要です。

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改正入管法では何が変わった?

今年4月に施行された改正入管法の最大のポイントは、外国人労働者の受け入れを拡大する方針であるということです。

そのために、新たな在留資格として「特定技能ビザ」が設置されています。

したがって、特定技能ビザを理解することが、今回の改正の理解につながります。

特定技能ビザには、「特定技能1号」「特定技能2号」の2種類のビザがあり、それぞれの特徴は以下の通りです。

特定技能1号 特定技能2号
期間の制限 通算5年まで なし
家族の帯同 不可
認められる業種 建設業 建設業
造船・舶用工業 造船・舶用工業
自動車整備業
航空業
宿泊業
介護業
ビルクリーニング業
農業
漁業
食品製造業
外食業
素形材産業
産業機械製造業
電気電子情報産業

この表を見ればわかる通り、特定技能1号と2号には大きな違いがあります。

日本で無期限に働くためには、特定技能2号を取得する必要がありますが、家族の帯同はこれに影響を受けています。

特定技能1号であれば、在留期間の上限が5年であるため、家族の帯同は不可としているのに対し、特定技能2号では長期間あるいは無期限の在留を目的としていることから、家族も伴うことが認められているのです。

当然、日本経済にとって重要度が高い外国人労働者に対して、特定技能2号が認められることになります。

したがって、特定技能1号の取得で求められる技能水準は「相当程度の知識または経験を必要とする技能」であるのに対し、特定技能2号で求められる技能水準は、「熟練した技能」となっています。

さらに、特定技能2号を取得するためには、あらかじめ特定技能1号を取得し、その後試験にパスすることによって、特定技能2号に移行することが認められます。

なお、上記の表の通り、特定技能2号の対象となる業種は、建設業と造船・舶用工業の2業種だけですから、それ以外の12業種に特定技能1号で従事していた労働者は、特定技能2号への移行が認められず、期間を満了次第、本国へ帰ることとなります。

技能実習との違いは?

なお、これまで外国人労働者を受け入れる際には、技能実習ビザを取得し、技能実習生として受け入れることによって、実質的に労働者として利用していました。

では、技能実習ビザと特定技能ビザはどう違うのかと言えば、まず目的の違いが挙げられます。

技能実習ビザの目的は、国際貢献です

外国人が、母国の経済や産業の発展のために、日本で働くことを通して技術を身に着けることが目的なのです。

つまり、技能実習を目的としているのであって、働くこと・稼ぐことが主たる目的ではないため、

  • 受け入れる労働者の国籍が発展途上国(主にアジア)に限定される
  • 期間は最長3年

などの縛りがあります。

したがって、期待している国の労働者を雇うことができない、長期にわたって貢献してくれる労働力になりえないなど、人材不足解消の効果はあまり期待できません

 

一方、特定技能ビザの目的は、外国人を労働者として受け入れ、人材不足を解消することです。

技能を身に着け母国で活かすという前提ではないため、

  • 受け入れる労働者の国籍が原則自由(イラン等一部の国は受け入れ不可)
  • 特定技能1号は最長5年、特定技能2号の在留期間は無期限

となっています。このため、企業の人材不足解消を目的にするならば、技能実習ビザよりも特定技能ビザのほうが適していると言えます。

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特定技能ビザを取得する流れ

特定技能ビザを取得する外国人は、

  • 特定技能評価試験に合格する
  • 技能実習2号を修了する

のいずれかの要件を満たす必要があります。

特定技能評価試験とは、技能水準と日本語能力水準についての試験であり、海外(2019年5月現在ではベトナム、フィリピン、カンボジア、中国、インドネシア、タイ、ミャンマー、ネパール、モンゴル)で実施されます。

この条件を満たしている外国人は、特定技能ビザを取得することができます。

 

就労を希望する外国人と、受け入れる会社では、以下のように取り組んでいきます。

  1. 外国人労働者が特定技能ビザを取得できるように、社内で受け入れ環境を整える(特に、入管法や労働法上の問題がないか)。
  2. 日本の入国管理局に、在留資格認定証明書の交付を申請する。在留資格認定証明書を取得したら、受け入れる外国人労働者(この時点ではまだ海外にいる)に原本を郵送する(有効期限は3ヶ月、再発行は不可なので慎重に取り扱う)。
  3. 在留資格認定証明書を受け取った外国人は、その他必要書類を揃え、母国の日本大使館にビザを申請する。問題がなければ、5日程度でビザが発行され、パスポートに査証が貼られる。
  4. 査証付きの有効なパスポートを使い、外国人が来日する。入国審査で問題がなければ、無事に入国となる。
  5. 就労開始。
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入管法改正で助成金はどう変わる?

ここまで書いてきた通り、入管法が改正され、特定技能ビザが新設されたことにより、技能実習ではなく、労働を目的とする外国人労働者を受け入れることが可能となりました。

これまで、外国人労働者を受け入れる際に利用できた助成金には、

  • 中小企業緊急雇用安定助成金
  • 雇用調整助成金
  • 人材開発支援助成金
  • キャリアアップ助成金

などがありました。

このうち、中小企業緊急雇用安定助成金や雇用調整助成金は、就労の目的に限らず、労働者の保護を目的とするものですから、技能実習生でも対象となっています。

また、人材開発援助助成金も、技能などの向上を目的としているため、技能実習という形での就労にマッチしており、助成金の受給が可能です。

これらに対し、キャリアアップ助成金は、労働者の処遇の改善が目的であるため、帰国を前提としている技能実習生に適用されるのは一部に限られていたのだ。

しかし、特定技能ビザが設けられたことにより、キャリアアップ助成金の活用の幅が広がっています。

特に、これまで技能実習生は対象外とされてきた正社員化コースが、特定技能労働者ならば受給可能となっているのです。

今回の入管法改正に伴い、現時点ではキャリアアップ助成金の正社員化コースが適用されたことが、大きな変化だと言えるでしょう。

今後も、外国人労働者の受け入れが広がるにつれて、利用できる助成金は増えてくることが予想されます。

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まとめ

経済成長の停滞・後退を防ぐべく、政府は外国人労働者の受け入れに積極的に取り組んでいます。

今後、外国人労働者を雇用しやすくなり、受け入れる会社は増えていくことでしょう。

これに伴って、利用できる助成金制度も充実していき、日本人労働者を雇用する場合と同様に、様々な場面で利用できるようになっていくと思います。

生産年齢人口が減少し、人材不足が深刻化している今、中小企業も外国人労働者を受け入れ、人材不足を解消していく必要があるでしょう。

その時、負担を軽減しながら取り組んでいくためにも、助成金を活用していきましょう。

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