新型コロナウイルスの収束が見えず、経済への打撃が加速度的に拡大しています。
一部の試算によれば、新型コロナウイルスによる2020年の経済的損失は、全世界で100兆円にのぼるとも言われています。
日本においても、中小企業の資金繰りに影響が出ており、政府は中小企業に対する支援策を矢継ぎ早に打ち出しています。
3月10日には、政府系金融機関が新型コロナウイルス感染症特別貸付を実施することを発表しました。
これを使うことで、より多くの融資をスピーディに、低金利(場合によっては実質無利子)で借りられるかもしれません。
本稿では、資金繰りが厳しい中小企業が使うべき、新型コロナウイル感染症特別貸付について解説します。
政府系金融機関が危機モードに突入
最近、新型コロナウイルスによる影響を受けて、政府は短期間のうちに、多くの支援策を打ち出してきました。
中小企業が資金繰りに活用すべき支援策には、
- 信用保証協会が債務を100%保証するセーフティネット保証4号
- 日本政策金融公庫のセーフティネット貸付の特別措置
などがあります。
これに加えて、政府は3月10日、新型コロナウイルス感染症特別貸付の実施を発表しました。
新型コロナウイルス感染症特別貸付は、日本政策金融公庫が実施する融資制度です。
基本的に、政府系金融機関は民間金融機関を補完する立場にあります。
企業の資金調達先が民間金融機関から政府系金融機関に流れ、民間金融機関の利益を阻害することがないよう、近年では民間金融機関との協調融資に力を入れてきました。
しかし、新型コロナウイルスの影響があまりにも大きくなった今、政府系金融機関は積極的に融資する方針へ切り替えています。

政府の強い要請もあり、支援のための融資、すなわち低金利・長期融資といった好条件での融資に踏み切ったのだ。
さらに、日本政策金融公庫では、すでに審査要員を増やしたり、営業時間を延ばしたりしており、スピーディに融資を受けやすくなっています。
このような好条件での融資は、政府系金融機関が民間金融機関の顧客を奪うことになるため、普通ではあり得ないことです。
政府系金融機関が危機モードに入ったことがよくわかります。

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新型コロナウイルス感染症特別貸付の特徴
新型コロナウイルス感染症特別貸付は、セーフティネット保証やセーフティネット貸付と同じく、対象となるのは
です。
ただし、他の支援制度とは細かい部分で異なり、好条件で融資を受けられる仕組みになっています。
新型コロナウイルス感染症特別貸付と他の支援制度と比較すると、以下の表のようになります。
セーフティネット 保証4号 |
セーフティネット 保証5号 |
セーフティネット貸付 | 新型コロナウイルス 感染症特別貸付 |
|
特例措置 | 信用保証協会が 債務を100%保証 |
信用保証協会が 債務を80%保証 |
売上高-5%以上といった 数値要件に関わらず、 今後の影響も含めて 融資対象とする |
信用力や担保によらず、 低金利で融資 |
融資上限額 (保証上限額) |
信用保証協会の保証の 一般枠とは別枠で、 最大2.8億円まで保証 |
中小企業事業:7.2億円
国民生活事業:4800万円 |
セーフティネット貸付の 融資枠とは別枠で、中小企業事業:3億円国民生活事業:6000万円 |
|
要件 (売上高減少率) |
前年同月比-20%以上 | 前年同月比-5%以上 | 売上高減少率に関わらず融資対象 | 前年同月比-5%以上
その他(後述) |
金利 | 借入先の金融機関による | 中小企業事業:1.11%
国民生活事業:1.91% |
当初3年間、
基準金利を-0.9%引き下げ 中小企業事業:1.11%→0.21% 国民生活事業:1.36%→0.46% |
|
融資期間 | 借入先の金融機関による | 設備資金:15年以内
運転資金:8年以内 |
設備資金:20年以内
運転資金:15年以内 |
※セーフティネット保証・セーフティネット貸付の詳しい情報については以下の記事を参考にしてください。
この表のように、新型コロナウイルス感染症特別貸付には以下のメリットがあります。

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信用力・担保力を度外視
セーフティネット保証とセーフティネット貸付も、中小企業の支援を目的としていることから、信用力・担保力がなくとも融資を受けられる可能性があります。
しかし、これらの制度は信用力・担保力が考慮されます。
セーフティネット保証では、信用保証協会の保証という担保が必要となりますし、セーフティネット貸付では中長期的に業績の回復が見込まれる信用力が必要です。

当然、信用力・担保力が金利に反映される可能性もあるわ。
これらの制度に対し、新型コロナウイルス感染症特別貸付は信用力・担保力を考慮しないことを明言しています。
信用力・担保力が考慮されないことから、新型コロナウイルスによって経営困難に陥り、信用力・担保力に乏しい会社でも、スムーズに好条件で融資を受けられる可能性があります。
融資要件を満たしやすい
新型コロナウイルス感染症特別貸付は、以下の要件を満たす場合を対象としています。
- 最近1ヶ月の売上高が前年又は前々年の同期と比較して5%以上減少している場合
- 業歴3ヶ月以上1年1ヶ月未満の場合は、最近1ヶ月の売上高が、次のいずれかと比較して5%以上減少している場合
- 過去3ヶ月(最近1ヶ月を含む)の平均売上高
- 令和元年12月の売上高
- 令和元年10月~12月の売上高平均額
この要件によって、
- セーフティネット保証4号よりも売上高減少率の条件が緩い
- 売上高減少率の比較対象がセーフティネット保証4号・5号よりも多い
というように、要件を満たしやすくなっています。
別枠での融資
売上高減少率が融資要件となっていることから、セーフティネット貸付よりも厳しいように思えるかもしれません。
しかし、新型コロナウイルス感染症特別貸付はセーフティネット貸付の融資枠とは別枠で融資を受けられるものです。
したがって、売上高減少率の要件を満たせない企業では、それが求められないセーフティネット貸付で融資を受け、
その後業況が悪化してさらに資金需要が発生した場合に新型コロナウイルス感染症特別貸付を利用する、といった活用が考えられます。
金利が低い
0.21~0.46%という超低金利で借りられることは、新型コロナウイルス感染症特別貸付の最大のメリットです。
金利引き下げの期間は当初3年間ですが、一般の融資ではとても考えられない低金利で融資を受けられるのです。
上記のように、セーフティネット貸付で融資を受けた後、さらに経営が悪化して新型コロナウイルス感染症特別貸付を利用する企業は、資金繰りがかなり不安定な状態になっているはずです。

そのようなタイミングで金利の負担が軽減されることは、非常に大きなメリットと言えるな。
さらに、後述の特別利子補給制度を利用した場合には、実質無利子で借りられる可能性もあります。
融資期間が長い
融資期間が長く設定されていることも大きなメリットです。
民間金融機関では、融資先の信用力や担保力に応じて融資期間を決めています。
セーフティネット保証では信用保証協会の保証があるとはいえ、金融機関は利益との兼ね合いを考えて、融資期間をできるだけ短く設定したいと考えます。
政府系金融機関のセーフティネット貸付も、融資期間は最大で8~15年です。
これらと比較して、新型コロナウイルス感染症特別貸付の融資期間は最長15~20年間となっています。
信用力や担保に依らず判断する制度ですから、交渉次第で長期融資を受けることも可能です。
融資期間は長ければ長いほど、毎回の返済額が減り、資金繰りにプラスとなります。
以上のように比較してみると、新型コロナウイルス感染症特別貸付はかなり強力な支援策であることが分かるでしょう。

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特別利子補給制度
最後に、新型コロナウイルス感染症特別貸付の追加措置として設けられている、「特別利子補給制度」を見ていきます。
新型コロナウイルス感染症特別貸付だけでも、金利が大幅な引き下げとなっていますが、特別利子補給制度を利用することにより、実質無利子で借り入れることができます。
特別利子補給制度の内容は、以下の通りです。
- 利子補給期間:借入後当初3年間
- 補給対象上限:中小企業事業1億円、国民生活事業3000万円
特別利子補給制度の要件
ただし、特別利子補給制度は特に影響の大きい事業者を対象としており、以下の条件を満たす必要があります。
- 小規模事業者(製造業・建設業・運輸業・その他の業種は従業員20名以下、卸売業・小売業・サービス業は従業員5名以下の事業者)→売上高減少率15%以上
- 中小企業(個人事業主・小規模事業者を除く事業者)→売上高減少率20%以上
※新型コロナウイルス感染症特別貸付によって借り入れていることが前提

このように、特別利子補給制度の売上高減少率の要件は、新型コロナウイルス感染症特別貸付よりも厳しく設定されていることが分かるわね。
とはいえ、影響が深刻な事業者は適用を受けられる可能性が十分にあります。
それだけ苦しい状況なのですから、利子補給を積極的に受けていくべきでしょう。

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まとめ
新型コロナウイルスによって、景気後退懸念が濃厚となった今、政府は次々に支援策を打ち出しています。
現時点でも、セーフティネット保証、セーフティネット貸付に加えて、新型コロナウイルス感染症特別貸付が実施されることとなりました。
今後も、新たな支援制度や、既存の制度での特別措置が実施される可能性があります。

影響が深刻化に伴い、資金繰りへのメリットが高まっているため、積極的に活用していくことをおすすめするよ!
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