助成金制度の代表的なものの一つに、キャリアアップ助成金の正社員化コースがあります。
これは、従業員の転換を実施した場合に助成金を支給する制度です。この助成金を受給することで、負担を軽減しながら人材確保に努めることができます。
これに加えて、東京都で実施している正規雇用等転換安定化支援助成金に取り組めば、転換の質を高めつつ、助成金の上乗せも受けられます。
本稿では、東京都の会社が絶対に活用すべき、正規雇用等転換安定化支援助成金について解説していきます。
キャリアアップ助成金の正社員化コースとは
多くの会社にお勧めできる助成金の一つに、キャリアアップ助成金があります。
キャリアアップ助成金には複数のコースが設けられていますが、中でもキャリアアップ助成金の正社員化コース(以下、正社員化コース)は人材不足の解消に役立つ制度です。
正社員化コースとは、従業員の雇用形態を転換し、処遇を改善した場合に助成金を受給できるコースです。
日本では、有期契約労働者の増加が続いており、これによって雇用の安定や労働力の安定を欠き、経済成長にも悪影響を与えています。
そのため、従業員の処遇を有期契約から無期雇用や正規雇用へ、無期雇用から正規雇用へと転換を実施した会社には、助成金が支給されているのです。
助成金の支給額は、転換の形態によって異なり、以下のように設定されています。
基本的な支給額 | 生産性が6%向上している場合 | |
有期契約から正規雇用へ転換 | 1人当たり57万円 | 1人当たり72万円 |
有期契約から無期雇用へ転換 | 1人当たり28.5万円 | 1人当たり36万円 |
無期雇用から正規雇用へ転換 | 1人当たり28.5万円 | 1人当たり36万円 |
(※すべての転換を合わせて、1年度1事業所当たり支給申請上限人数は20人まで)

人材確保にも役立つ助成金
このような転換によって、助成金を受給できるだけではなく、会社の人材不足の解消にも役立ちます。
有期契約では、契約期間の満了によって退職する従業員もいるため、人材を安定して確保することができません。
有期契約労働者が離職すれば、新たな労働者を採用するためにコストがかかり、経験と知識が足りないうちは生産性も低下します。
しかし、無期雇用や正規雇用に転換すれば、有期契約期間の満了による離職がなくなり、人材の確保に役立ちます。
離職した労働者の穴埋めにコストをかける必要はなく、生産性の低下を招く心配もありません。
また、就労規則や労働協約などに転換規定を設けることで、有期契約労働者は無期雇用や正規雇用に転換してもらうことを目標として、意欲的に仕事に取り組み、生産性の向上につながることも多いです。
従業員を転換すれば、基本給がアップしたり、支給対象となる諸手当が増えたりするため、会社の人件費負担は大きくなります。
しかし、上記のような様々なメリットが得られるほか、助成金によって負担を軽減することも可能です。
正社員化コースは、中小企業が積極的に活用すべき助成金のひとつと言えます。


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正規雇用等転換安定化支援助成金とは
正社員化コースの活用により、多くの会社がメリットを享受することができるわけですが、東京都内の会社であれば、厚生労働省の正社員化コースだけを利用するだけでは不十分です。
なぜならば、厚生労働省の助成金に加えて、東京都産業労働局では、正規雇用等転換安定化支援助成金という制度を実施しており、追加の助成を受けられるためです。
正規雇用等転換安定化支援助成金は、厚生労働省が実施する正社員化コースと連携することで、正社員化の促進に加えて、人材育成を促すための助成金です。
このため、正規雇用等転換安定化支援助成金を受給するためには、「転換した人材を育成するための計画を策定・実施すること」が要件となっています。
助成金の受給だけを目当てに、経営への効果を考えることなく転換すれば、会社の人件費負担が大きくなるだけで、思ったようにメリットが得られない可能性もあります。
しかし、転換と同時に人材育成を図ることにより、次のように転換の質を高めることにつながるのです。
- 育て甲斐のある(育成の効果が大きい)人材を選抜することによって、優秀な人材から優先的に転換される
- 選ばれた優秀な人材を育成することで、転換した人材が経営にもたらすメリットが大きくなる
このように、正規雇用等転換安定化支援助成金は、転換によって会社が一層強くなっていくことを促す助成金制度と言えます。
さらに、転換後の育成支援期間に、新たに退職金制度を整備したり、中退共制度に加入したりした会社は、助成金の加算を受けることもできます。

前の制度からの3つの変更点
正規雇用等転換安定化支援助成金は、平成30年4月から実施されている助成金です。
平成30年3月までは、正規雇用転換促進助成金という名称で実施されていました。
どちらも名称が似ていますが、助成内容が変わっているため、変更点について知っておく必要があります。
正規雇用転換促進助成金と正規雇用等転換安定化支援助成金の違いは、以下の通りです。
助成額が減った
正規雇用転換促進助成金では、次の通り助成金が支給されていました。
- 有期契約から無期雇用への転換では20万円
- 有期契約から正規雇用への転換では50万円
- 無期雇用から正規雇用への転換では30万円
また、退職金制度を整備した場合には、転換した従業員1人あたり10万円の助成金が支給されていました。
支給申請上限も設けられておらず、無制限に申請することが可能でした。
キャリアアップ助成金の正社員化コースでは、1年度に1事業所20人を上限としていますが、正規雇用転換促進助成金にはそのような上限がなかったのです。
しかし、正規雇用等転換安定化支援助成金になってからは、転換の形態に関わらず1人あたり20万円の支給となり、支給申請は1年度1事業所あたり3人が上限となりました。
また、退職金制度を整備した場合の助成も、転換した人数に関わらず1事業所あたり1回のみ10万円の支給となりました。
このように、正規雇用等転換安定化支援助成金では助成額がかなり減額されています。
正規雇用転換促進助成金のように考えて何人も転換してしまうと、思っていたよりも受給額がかなり少なくなってしまうため、しっかりと把握しておいてください。

指導育成の具体性が増した
助成額が減ったからといって、取り組みが簡単になったわけではありません。
むしろ、指導育成には具体的な取り組みと実績報告の義務が課せられるようになり、手間がかかるようになりました。
正規雇用転換促進助成金の頃にも、労使間で面談したうえで指導育成計画書を作成し、都へ提出する必要がありました。
しかし、取り組みの報告や現地確認などは行われておらず、比較的スムーズに助成金を受給することができていました。
正規雇用等転換安定化支援助成金になってからは
- 3年間の指導育成計画を作成する
- 計画に沿ってメンターによる指導や研修を実施する
- 現地確認・実績報告をする
そのうえで、問題がなければ助成金を支給する仕組みとなっています。
このように、受給金額は低くなったものの、受給までのハードルは上がっているのです。

支給申請期限が緩くなった
正規雇用転換促進助成金では、受給手続きに様々な申請期限が設けられていました。
例えば、次のように期限が設定されています。
- 正社員化コースの支給申請から2ヶ月以内に、正規雇用転換促進助成金を支給申請すること
- 正規雇用転換促進助成金の支給申請から2ヶ月以内に、指導育成計画書を作成すること
- 支給決定通知書を受領してから2ヶ月以内に、都へ支給決定通知書と指導育成計画書を提出すること
これに遅れた場合には受給することができませんでした。
しかし、正規雇用等転換安定化支援助成金では、このような支給申請期限の縛りが緩くなっています。
期限が設定されているのは、次のような内容です。
- 指導育成計画書の作成とメンターの選任を、支援期間開始日から1ヶ月以内に実施すること
- 3ヶ月間の指導期間内にメンターによる指導や研修を実施すること
これら以外に期限はありません。
厚生労働省で実施しているキャリアアップ助成金の正社員化コースを受給していれば受給対象となるため、会社のペースで取り組みやすくなったと言えます。

正規雇用等転換安定化支援助成金のメリット
上記の比較の通り、正規雇用転換促進助成金から正規雇用等転換安定化支援助成金に変わったことで、メリットが小さくなった部分もあります。
助成金額はかなり小さくなっていますし、手間も増えました。
しかし、助成金額が減ったり、手間が増えたりしたとはいえ、東京都以外では正社員化コースによる助成しか受けられないのです。
東京都の会社であるというだけで、正規雇用等転換安定化支援助成金を受給できるのですから、積極的に活用していくべきです。
メンターの選任・指導や、研修などを実施し、実績報告まで必要と思うと、非常に面倒に感じるかもしれません。
しかし、転換した従業員を育成することは会社にとってもメリットがありますし、その結果をそのまま報告すれば、特に問題がない限り助成を受けることができます。
むしろ、指導育成計画の実施状況を見られることで、中身のある指導育成に取り組む動機となり、転換の質を高めることにつながるでしょう。


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正規雇用等転換安定化支援助成金の注意点
なお、正規雇用等転換安定化支援助成金を受給するにあたって注意したいことは、この助成金は「早い者勝ち」だということです。
受給要件を満たせば、ほとんどの会社が受給できるキャリアアップ助成金とは異なり、正規雇用等転換安定化支援助成金には予算が設けられており、予算に達したら打ち切りとなります。
具体的には、以下の表のように、全6回にわたって助成対象企業を募集し、合計3000社の支援を予定しています。
交付申請受付期間 | 支援期間 | 実績報告受付期間 | 予定事業所数 | |
第1回 | 5月10日(金)~5月31日(金) | 7月1日~9月30日 | 10月1日(火)~10月25日(金) | 500 |
第2回 | 6月10日(月)~6月28日(金) | 8月1日~10月31日 | 11月1日(金)~11月25日(月) | 500 |
第3回 | 7月10日(水)~7月31日(水) | 9月1日~11月30日 | 12月2日(月)~12月25日(水) | 500 |
第4回 | 8月9日(金)~8月30日(金) | 10月1日~12月31日 | 1月6日(月)~1月27日(月) | 500 |
第5回 | 9月10日(火)~9月30日(月) | 11月1日~1月31日 | 2月3日(月)~2月25日(火) | 500 |
第6回 | 10月10日(木)~10月31日(木) | 12月1日~2月29日 | 3月2日(月)~3月25日(水) | 500 |
「受給できる会社もあれば受給できない会社もある」といえば、補助金のような印象を受けるかもしれません。
しかし、正規雇用等転換安定化支援助成金はあくまでも助成金であり、選考・採択といった方法で助成先を選ぶのではなく、申請した会社から順番に支給していき、予算が尽きたら終わりという方式です。
したがって、転換によって正社員化コースを受給する東京都内の会社は、速やかに手続きし、正規雇用等転換安定化支援助成金の受給を目指すことが重要です。

正規雇用等転換安定化支援助成金の仕組み
上記の内容からも、正規雇用等転換安定化支援助成金の仕組みがいくらかわかったと思います。
ここからは支給要件や支給額についてまとめていきます。
正規雇用等転換安定化支援助成金の支給対象
正規雇用等転換安定化支援助成金は、厚生労働省が実施するキャリアアップ助成金の正社員化コースに追加で助成するものです。
したがって、受給のためには、「対象労働者を転換し、正社員化コースの支給申請を行い、支給決定を受けていること」が前提となります。
また、正規雇用等転換安定化支援助成金は、東京都産業労働局が実施している助成金です。
そのため、対象は以下の通りになります。
- 対象事業主:東京労働局管内に雇用保険適用事業所があること
- 対象労働者:都内の事業所において、転換または直接雇用された労働者であること
このほかの要件については、過去に重大な法令違反がないことや、労働関連法令を遵守していることなどが要件であり、これは他の助成金制度と変わりません。
支援事業とは?
正規雇用等転換安定化支援助成金を受給するためには、次の支援事業を実施する必要があります。
- 対象労働者に対して3年間の指導育成計画を策定すること
- メンターを選任し、メンターによる指導を行うこと
- 実際に研修を実施すること
支援期間は3ヶ月間であり、この期間中に上記の支援事業の実施のほか、新たに退職金制度を整備・施行する、もしくは中退共制度に加入した場合に、退職金制度整備加算を受給することができます。
指導育成計画
指導育成計画は、転換の対象となる労働者ごとに適したキャリアプランのことです。
計画を立てる際には、労使間で面談や実際の業務に携わっていく上で、転換後の業務に必要な資格や技能に配慮します。
次のような内容を定めていくのです。
- 3年後の到達目標
- 年度ごとの目標
- 具体的な育成の内容
- 研修計画、OJTによる指導
この計画によって、対象労働者のキャリアップを計画的に進めていけるほか、労働者本人も目標を明確化して取り組むことができ、効果的に取り組むことができます。
指導育成計画は、支援期間開始日から1ヶ月以内に計画する必要があります。
メンターの選任・実施
メンターとは、対象労働者の指導育成にあたる上司や先輩社員のことです。
転換後の教育の結果を左右する重要な存在ですから、適切な人材を選ぶことが重要です。
メンターになるために特別な資格は不要であり、適切な指導・サポートができる人材を選任すれば問題ありません。
支援期間開始日から1ヶ月以内に、対象労働者1名あたり1人のメンターを選任する必要があります。
メンターの指導は、支援期間中に3回以上(3日以上)実施します。
研修の実施
これに加えて、支援期間中に1回以上(2時間以上)の社内研修あるいは社外研修を実施し、対象労働者の能力向上と人材育成を目指します。
研修の内容は、指導育成計画の目標に合わせたものに限られます。

正規雇用等転換安定化支援助成金の支給額
助成金の支給額は、以下の通りです。
転換による支給額
労働者を転換し、支援事業を実施した会社には、対象労働者数によって以下の助成金が支給されます。
対象労働者数 | 支給額 |
1人 | 20万円 |
2人 | 40万円 |
3人以上 | 60万円 |
なお、申請は1年度1事業所3回まで、交付上限額は1年度につき1事業所60万円までとなっています。
つまり、4人目以降の転換には対応していないため、注意が必要です。
退職金制度導入による支給額
さらに、新たに退職金制度を整備するか、中退共制度に加入した場合には、対象労働者数に関わらず10万円が支給されます。
これは、1事業所あたり1回のみとなっています。
コメント「最大で70万円の追加助成だ。ただし、年度ごとに改定されることも多い。最新の情報をチェックしてくれ。」
キャリアアップ助成金との併用による受給の例
では、キャリアアップ助成金の正社員化コースと正規雇用等転換安定化支援助成金を併用した場合に、どれくらいの効果があるかを見てみましょう。
ある会社で、1年間に5人の有期契約労働者を正規雇用に転換した場合、正社員化コースだけを利用したならば、
57万円×5人=285万円
となります。
これに加えて、正規雇用等転換安定化支援助成金も受給した場合には、転換した5人のうち3人までを対象として60万円の追加助成、さらに退職金制度も導入していれば10万円の追加助成となります。
したがって、正規雇用等転換安定化支援助成金による追加助成を含めると、
285万円+60万円+10万円=355万円
となり、通常よりも70万円多く受給することができます。
正社員化コースによって285万円の支給が決定しているならば、正規雇用等転換安定化支援助成金も追加で受けられる条件はそろっているのですから、ぜひ取り組んで70万円の獲得を目指すべきです。

しかし、1人20万円、3人60万円の対象従業員に指導育成を実施する。
育成したい従業員を選ぶことも忘れてはいけないぞ。

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受給までの流れ
正規雇用等転換安定化支援助成金を受給するまでの流れは、以下の通りです。
- キャリアアップ計画を作成・提出して認可を受け、転換に取り組む。
- 対象となる労働者を事前に6ヶ月間雇用した後に転換し、転換日から6ヶ月分の給与を支給することで、正社員化コースを受給可能となる。
- 正社員化コースの支給決定通知書を受領した後、東京都へ正規雇用等転換安定化支援助成金の事業実施計画書兼交付申請書を申請する。
- 東京都から正規雇用等転換安定化支援助成金交付決定通知書を受け取る。
- 第1回~第6回の申請で、それぞれ決められた3ヶ月の支援期間に、指導育成計画の策定、メンターの選任・指導、研修の実施、退職金制度の整備に取り組む。
- 支援期間が終了したら、東京都に対し、第1回~第6回の申請でそれぞれ定められた実績報告受付期間内に、正規雇用等転換安定化支援助成金実績報告書を提出する。
- 東京都から、正規雇用等転換安定化支援助成金額の確定通知書を受け取る。
- 東京都から、正規雇用等転換安定化支援助成金が振り込まれる。
受給にかかる期間のイメージ
上記の流れで、正社員化コースと正規雇用等転換安定化支援助成金を受給するには、どれくらいの期間がかかるのでしょうか。
受給にかかる期間のイメージを見ていきましょう。
2019年度には間に合わないケース
これまで、助成金を活用してこなかった会社では、これから(本稿執筆時点である2019年5月ごろから)正社員化コースに取り組み、正規雇用等転換安定化支援助成金も受給したいと考えているかもしれません。
しかし、このような会社では、2019年度の正規雇用等転換安定化支援助成金を利用することはできません。
前提となる正社員化コースの受給のためには、
- 対象となる労働者を6ヶ月以上にわたって雇用した後に転換する
- 転換後6ヶ月間にわたって賃金を支払うことで受給要件が満たされる
- 6ヶ月分の賃金を支給した翌日から起算して2ヶ月以内に支給を申請する
- 申請内容を審査し、問題がなければ助成金が支払われる(審査期間は2~6ヶ月)
という流れで取り組みます。
審査期間には幅がありますが、働き方改革の推進に伴い、助成金を活用する会社が増えていることから、最近は審査に6ヶ月以上かかるケースが多いようです。
したがって、新規雇用から取り組む場合には1年半程度、既存の従業員を転換する場合でも1年程度の期間を見積もっておくべきです。
2019年度の正規雇用等転換安定化支援助成金は、最終の第6回目の交付申請受付期間が2019年10月10日~10月31日となっているため、これから正社員化コースに取り組む会社は、2019年度の正規雇用等転換安定化支援助成金には間に合いません。
このような会社は、2020年度以降の申請に備え、正社員化コースに取り組んでいきましょう。
2019年度に間に合うケース
正規雇用等転換安定化支援助成金は、2017年4月1日以降に転換した従業員がいれば、申請可能となっています。
このため、現時点で正社員化コースの助成金の支給が決定している会社では、2019年度の正規雇用等転換安定化支援助成金に間に合います。
また、2019年5月現在、正社員化コースの支給決定通知を受け取っていない会社でも、すでに支給申請を完了していれば、間に合う可能性は十分にあります。
第6回の申請期限が10月31日であるため、正社員化コースの審査期間に6ヶ月を要するとすれば、少なくとも2019年5月中に正社員化コースの支給申請を完了することによって、第6回の申請に間に合う可能性があります。
2019年度に申請するイメージ
では、2018年4月1日に転換を実施した会社で、正社員化コースの受給から、正規雇用等転換安定化支援助成金の受給に至るイメージを「具体的な日付」とともに見ていきましょう。
- 2017年10月1日に有期契約労働者を雇用し、6ヶ月が経過した2018年4月1日に転換する。
- 賃金が月末締め・翌月15日払いであれば、6ヶ月分の賃金が支給されるのは2018年10月15日となる。
- 2018年10月16日から2ヶ月以内が支給申請期間となる。2018年11月1日に申請し、審査に6ヶ月を要した場合には、2019年4月1日に支給決定通知を受け取る。
- 支給決定通知を受け取り、事業実施計画書兼交付申請書を作成し、第1回の2019年5月10日~5月31日の交付申請受付期間中に提出する。交付決定までには1ヶ月程度を要する。
- 第1回の申請で決定通知を受け取った場合、7月1日~9月30日が支援期間となる。
支援期間開始日の7月1日から1ヶ月以内、すなわち7月31日までに、3年間の指導育成計画の策定とメンターの選任を完了する。 - 9月30日までに、メンターによる3回以上の指導、1回・2時間以上の研修を実施する。
- 退職金制度整備加算を受給する場合には、7月1日~9月30日の支援期間中に、指導育成計画と並行して新たな退職金制度を整備する。
新たに整備した就業規則等を労働基準監督署に提出するか、あるいは中退共制度に新規加入する。 - 3ヶ月間の支援期間が完了した後、実績報告書を提出する。第1回の実績報告受付期間は10月1日~10月25日となる。
- 実績報告書の審査には1ヶ月程度を要する。
審査に問題なければ、助成金額の確定通知書を受け取り、さらにその後1ヶ月程度で助成金が振り込まれる。
実績報告書の提出が10月15日であれば、確定通知書の受け取りは11月15日前後、助成金の振り込みは12月15日前後となる。
以上のように、
- 新規雇用した従業員を転換する
- 正社員化コースを受給する
- さらに正規雇用等転換安定化支援助成金も受給する
という流れで取り組んだ場合、かなりの長期間を要することが分かります。
手続きがスムーズに進んだとしても、全ての取り組みが完了するまでには、2017年10月1日~2019年12月15日まで、2年以上の期間を要するのです。
長い期間を要するため、面倒に思う人もいるかもしれません。
しかし、そもそも経営は長期スパンで考えていくものですから、長期にわたって経営していく中で、少しでも受給額が多くなるように取り組んでいくことが大切です。
途中で資金難に陥るなどして取り組みが頓挫しないよう、しっかりと資金繰りをコントロールしていくことを心掛けましょう。


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まとめ
正規雇用等転換安定化支援助成金は、東京都内の会社だけが利用できる助成金です。
東京都内の会社は、この制度を利用することによって、助成金の受給額を高めていきましょう。
また、追加助成もさることながら、指導育成によって転換の質を高められることも大きなメリットです。
正社員化コースだけでは、転換だけで完結してしまうことも多いのですが、正規雇用等転換安定化支援助成金に取り組むことで、転換の質を高めることができます。
これによって生産性が向上すれば、これによっても助成金の加算を受けることができます。
まさに、正規雇用等転換安定化支援助成金は、利用しない手はない助成金だと言えます。
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