特定求職者雇用開発助成金の「安定雇用実現コース」の活用は難しい。良い方法は他にある

就職氷河期世代には、非正規雇用として働き続けている人や無職の人が多く、政府はその対策に力を入れています。

企業に就職氷河期世代の雇用を促すために、特定求職者雇用開発助成金の安定雇用実現コースを実施していることも、その表れと言えます。

現在の安定雇用実現コースは条件が厳しく、活用が難しいものとなっています。

しかし、助成金関連の情報サイトには、安定雇用実現コースの利用を勧めるものも見られます。

正しい活用のためにも、本稿では安定雇用実現コースがなぜ利用しにくいのか、また安定雇用実現コース以外の方法で人材確保するにはどうすべきかを解説していきます。

安定雇用実現コースとは?

中小企業の人材不足が深刻化している今、中途採用による人材確保を進めている会社もあると思います。

政府も中途採用の拡大を推進していますし、中途採用によって助成金を受給できる機会も多いため、積極的に検討していきたいものです。

中途採用に取り組んだ場合に受給できる助成金には複数あります。

そもそも中途採用とは、新規学卒者ではなく、職業経験を持っている人材を採用することです。

新卒者以外という大きなくくりで考えると、雇用の対象は多岐にわたります。

したがって、一口に中途採用といっても、中途採用にどのように捉えているか、どのような人材を雇用するかによって、取り組みの内容は大きく変わり、受給できる助成金も変わってきます。

中途採用を促進するために設けられている助成金の中には、対象労働者の年齢層や経験に制限がある助成金もあります。

 

近年の政府の方針では、特に就職氷河期世代を支援することを目的とする助成金もあります。

特定求職者雇用開発助成金の安定雇用実現コース(以下、安定雇用実現コース)は、まさに就職氷河期世代への支援を目的とする助成金です。

厚生労働省の安定雇用実現コースの案内でも、

「いわゆる就職氷河期に正規雇用の機会を逃したこと等により、十分なキャリア形成がなされず、正規雇用に就くことが困難な方をハローワーク等の紹介により、正規雇用労働者として雇い入れる事業主に対して助成されます」

と明記されています。

安定雇用実現コースの概要

安定雇用実現コースの対象となる労働者は、

  • 雇入れ日時点の満年齢が35歳以上60歳未満の人
  • 正規雇用労働者として雇用された期間を通算した期間が1年以下であり、雇入れ日の前日から起算して過去1年間に正規雇用労働者として雇用されたことがない人
  • ハローワークまたは民間の職業紹介事業者などの紹介の時点で失業状態にある人
  • 正規雇用労働者として雇用されることを希望している人

の全てを満たしている必要があります。

上記の条件を満たす労働者を正規雇用した会社には、

正規雇用した労働者1人当たり60万円(6ヶ月を1期として、1期当たり30万円を2期にわたって支給)

の助成金が支給されます。

対象となる労働者の条件は厳しいけど、支給額はそれほど多くないね。

※安定雇用実現コースについて、詳しくはこちら

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利用しにくい助成金

企業が雇用する目的は、人材の確保によって、より円滑な経営を実現したり、事業拡大に取り組んだりするためです。

したがって、就職氷河期世代であるかどうか、何歳であるか、もっと言えば中途採用か新卒かといったことは重要ではなく、戦力になれば雇用するのが良いと言えます。

とはいえ、これから中途採用に取り組んでいく会社では、安定雇用実現コースの活用について慎重に考える必要があります

なぜならば、以下のような理由から、安定雇用実現コースは決して使い勝手の良い助成金とは言い難いからです。

政府と会社の考え方のギャップ

まず、政府が促進しようとしている中途採用と、企業が望む中途採用にはかなりのギャップがあります。

政府は、非正規雇用の割合が高い就職氷河期世代の採用を促進することによって、

  • 労働人口を増やすこと
  • 就職氷河期世代の生活を安定させ、結婚を促し、少子化を改善すること
  • 無職の就職氷河期世代を就職させ、社会の負担を軽減すること

などを目的としています。

これらの目的を考えると、政府が安定雇用実現コースによって目指している中途採用とは、

“働ける年齢でありながら、様々な理由によって働いていない人の採用を促すこと”

を意味しています。

しかし、利益を追求する企業が求めるのは、あくまでも戦力になる人材です。

 

多くの企業が新卒の採用を望んでいる理由は、

  • 新卒の人材には社会人経験がなく、経験や価値観が凝り固まっていないため、会社が望む社員像へと教育しやすい
  • 今後何十年と働いていく新卒の人材を採用することにより、人材不足を長期的に予防できる
  • 従業員の平均年齢が下がり、現代的なアイデアや価値観を取り入れることができ、組織の若返りにつながる

といったものです。

これと対局にある中途採用は検討しない、あるいは少数のみ採用するのが普通です。

ましてや、政府の想定する「働ける年齢でありながら、様々な理由によって働いていない人」となれば、「使いにくい人材」「使えない人材」である可能性も高いため、忌避して当然です。

 

しかし、人材不足の今、特に中小企業が新卒を採用することが難しくなってきており、中途採用を検討する必要性も高まってきました。

それでも、企業が中途採用を実施するときには、「働ける年齢でありながら、様々な理由によって働いていない人」を想定するのではなく、

  • 自社にない知識やノウハウを持っている人材
  • 自社に欠かせない知識やノウハウを持っている従業員が離職したとき、その穴埋めができる人材

を想定します。

つまり、これまでの職歴やスキル・能力・ノウハウなどから、即戦力になる人材を中途採用することを想定しているのです。

そうでない人材を中途採用するとしても、中高年の人材よりも若い人材を中途採用したほうが、新卒に近いメリットが期待できるため、あえて就職氷河期世代を対象に中途採用を進めることはないはずです。

このように、政府が想定する中途採用と、企業が想定する中途採用には大きなギャップがあるのです。

政府が、就職氷河期世代の中途採用を促そうとしたところで、企業にとってはなかなか受け入れがたいことです。

したがって、安定雇用実現コースという助成金が設けられており、中途採用によって助成金が受給できるとしても、即戦力になることを過度に期待することなく、慎重に利用していくべきです。

中途採用の必要性は高まっているが、就職氷河期世代に限定して考える必要はないのだ。

経験不足で採用しにくい

次に、安定雇用実現コースの対象労働者の条件がシビアであることも、使いにくい理由の一つです。

上記の通り、安定雇用実現コースの対象労働者の要件には、

「正規雇用労働者として雇用された期間を通算した期間が1年以下であり、雇入れ日の前日から起算して過去1年間に正規雇用労働者として雇用されたことがない人」

という要件が含まれています。

これは、22歳で大学を卒業した人材であれば、13年以上38年未満にわたって、ほとんど正規雇用の経験がない人ということになります。

企業が求める「即戦力になる人材」とは、「正規雇用としての経験がある人材」とほぼイコールです。

この要件に該当する人材は、長年にわたって非正規雇用として働き、正規雇用に比べて限定的な職務しか与えられずに働いてきた人がほとんどであり、会社の役に立つスキルやノウハウが備わっておらず、マネジメント経験などもありません。

「そのような人材でも雇用しなければならないほど人材不足が深刻だったため、仕方なく雇用した。ついでに、安定雇用実現コースも受給した」という、消極的な場合ならあり得るかもしれませんが、積極的には考えにくいでしょう。

経験不足の人材は雇用しにくい。助成金を受給できるとしても、リスクは大きいのだ。

正規雇用しなければならない

さらに、安定雇用実現コースでは正規雇用が要件となっています。

経験不足であり、正規雇用することを躊躇せざるを得ない人材は、まず有期契約で雇用してみて、その後の成績や意欲などに応じて正規雇用に転換するものですが、安定雇用実現コースではいきなり正規雇用しなければならないのです。

正規雇用された従業員は定着率が高いため、安定した労働力を確保することにつながります。

しかし、経験・能力・適性などがあると判断した人材が定着するのは喜ばしいことですが、それらが不十分な人材が定着すれば、会社にとって負担になるだけです。

いったん正規雇用してしまうと、簡単にやめさせることはできません。これは、労働契約法第16条にある通り、

「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。」

と定められているのです。

正当な事由なく辞めさせてしまうと、訴訟を起こされて多額の賠償金の支払いを命じられたり、その後の助成金活用が制限されたりする可能性があります。

もちろん、能力不足・成績不足などによって解雇すること自体は可能であり、正当な解雇と認められることもあります。

 

しかし、これはあくまでも、解雇して当然と言える理由・状況が求められます。例えば、

  • 未経験者を中途採用し、必要な指導を行ったものの、能力が不足しており成績も悪かった。そこで、適性を見るために配置転換も試みたが、やはり能力不足・成績不振が改善されなかった
  • 経験者を中途採用したものの、採用時に前提としていた専門性がないことが明らかとなった

といったケースです。

もし、中途採用した未経験者に対し、必要な指導や配置転換を実施せずに解雇すれば、正当な解雇とはみなされない可能性が高いです。

安定雇用実現コースで雇用するのは、正規雇用としての経験が1年未満の人材であり、未経験者が対象になることも多いです。

経験があったとしても、非正規雇用としての経験であり、高いレベルでの専門性は期待しにくいです。

したがって、安定雇用実現コースによって中途採用に取り組むならば、能力や適性に不安がある人材を正規雇用し、不安が的中しても簡単には解雇できず、負担ばかりが増大していく恐れもあるのです。

いきなり正規雇用か・・・。就職氷河期世代でなくとも、新卒でもなければ難しい条件だね。

支給額が少ない

上記のように、安定雇用実現コースは対象労働者が特殊であり、使い勝手が悪い助成金と言えます。

障害者雇用関連の助成金のように、対象労働者が雇用しにくい人材であるほど、助成金の支給要件は緩く、支給額は大きいのが普通です。

しかし、安定雇用実現コースで受給できるのは60万円のみです。

たった60万円のためにリスクを負うならば、正規雇用ではなく有期契約で中途採用に取り組み、助成金も諦めたほうが、まだマシかもしれません。

もちろん、後述のように他の助成金を活用することによって、安定雇用実現コースを利用するよりも安全・堅実に、多くの助成金を受給することも可能です。

助成金は負担やリスクを軽減する効果もあるのに、支給額が低いのは大きな問題だ。

全く活用できないわけでもないが・・・

もっとも、雇用の対象を絞り込むことによって、安定雇用実現コースが役立つ場合もあります。

前提として、正規雇用の経験が非常に少ない人材を正規雇用するのですから、相応の理由がなければ成り立ちません

例えば、これまで非正規雇用として長く働いてきた人材のうち、

  • 正規雇用を目指して資格の取得に励んできた人材であり、自社の業務に役立つ資格を持っている
  • パソコンが趣味であって、パソコンを用いて高いレベルの業務をこなせる

といった人材であれば、いきなり正規雇用するという条件によって、他社に先んじて優秀な人材を確保できるかもしれません。

しかし実際には、圧倒的な経験不足を補える能力を備えており、いきなり正規雇用してもよいと思える人材は少ないものです。

それを期待して安定雇用実現コースに取り組むのは考え物です。

いきなり正規雇用できるレベルの人材なら、そもそも対象にならないだろう。通算1年間くらいの正規雇用経験はあるのが普通だ。

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他の方法を検討してみる

以上のように、安定雇用実現コースでは「経験や能力が不足している可能性が極めて高い人材を、最初から正規雇用する」ことが要件となっていることで、活用しにくい助成金です。

このため、安定雇用実現コースよりも、他の方法によって中途採用に取り組むことを考えてみるべきです。

例えば、キャリアアップ助成金と人材開発支援助成金の併用によって、適性のある人材を中途採用で確保できる可能性は高まります。

キャリアアップ助成金で安全確保

キャリアアップ助成金の正社員化コース(以下、正社員化コース)は、有期契約から無期雇用あるいは正規雇用へ転換、または無期雇用から正規雇用へ転換した場合に、以下の助成金を受給できるものです。

基本的な支給額 生産性が6%向上している場合
有期契約から正規雇用へ転換 1人当たり57万円 1人当たり72万円
有期契約から無期雇用へ転換 1人当たり28.5万円 1人当たり36万円
無期雇用から正規雇用へ転換 1人当たり28.5万円 1人当たり36万円

(※すべての転換を合わせて、1年度1事業所当たり支給申請上限人数は20人まで)

正社員化コースでは、単に有期契約雇用をしただけでは助成金を受給することはできませんが、逆に言えばいきなり正規雇用する必要もありません

とりあえず、6ヶ月間の有期契約として中途採用し、能力や適性を見極めたうえで正規雇用に転換すれば、助成金を受給することができます。

もちろん、能力や適性に問題があれば、契約を更新しなければ良いのです。

安定雇用実現コースで正規雇用する場合も、正社員化コースで有期契約期間を経て正規雇用する場合も、どちらも最終的には正規雇用するのですから、人材確保としての効果は変わりません。

しいて言えば、安定雇用実現コースには「35歳以上60歳未満」「正規雇用としての経験が1年未満」といった制限があるのに対し、正社員化コースではこのような制限がないため、就職氷河期世代以外にも多くの人材から選ぶことができます。

この意味において、正社員化コースのほうが人材確保に役立つでしょう。

 

さらに、安定雇用実現コースで受給できる助成金は60万円であり、正社員化コースで有期契約から正規雇用への転換によって受給できる助成金は57万円であるため、その差はわずかです。

対象となる労働者の条件に厳しい制限がなく、有期契約期間を設けて安全を確保でき、受給はほとんど変わらないのですから、安定雇用実現コースよりも正社員化コースのほうが、圧倒的にメリットが大きいと言えるでしょう。

キャリアアップ助成金は基本的な助成金だが、汎用性は高いのだ。

人材開発支援助成金で人材確保

正社員化コースと併用したいのが、人材開発支援助成金の特別育成訓練コース(以下、特別育成訓練コース)です。

特別育成訓練コースは、有期契約の労働者を正規雇用に転換することを目的として有期実習型訓練を実施することで、助成金を受給できるものです。

有期実習型訓練は、OFF-JT(業務に必要な知識やスキルについての訓練を、通常の業務以外で実施すること)とOJT(指導者の指導によって、通常の業務の中で実務を通じて訓練すること)を組み合わせて訓練を実施します。

 

OFF-JTを実施した場合には、

  • 賃金助成:1人1時間当たり760円(生産性要件を満たしている場合には960円。1人当たりの助成時間は最大で1200時間まで)
  • 経費助成:100時間未満では10万円、100時間以上200時間未満では20万円、200時間以上では30万円を上限として実費を助成

を受給することができ、OJTを実施した場合には、

  • 賃金助成:1人1時間当たり760円(生産性要件を満たしている場合には960円。1人当たりの助成時間は最大で680時間まで)

を受給することができます。

特別育成訓練コースを利用すれば、実務を通してOJTによる訓練を実施し、賃金の一部を助成金でカバーすることもできるため、中途採用した人材の人件費負担を軽減する効果もあります。

なお、あくまでも正規雇用転換は目的にすぎず、訓練しても正規雇用への転換が困難であれば転換する必要はありません。

その場合にも、助成金は受給できます。

ただし、有期実習型訓練の実施後に正規雇用に転換した場合には、OFF-JTに要した経費助成の上限額が、100時間未満では15万円、100時間以上200時間未満では30万円、200時間以上では50万円となり、追加助成を受給することができます。

賃金助成と経費助成で、負担が二重に軽減されるのだ!

併用で効果を高める

したがって、正規雇用に転換したほうが、より多くの経費助成を受給でき、訓練による負担は軽減されると言えます。

正社員化コースだけの取り組みでは、有期契約によって正規雇用を検討できるものの、適性がない人材である以上、人材確保にもつながりません。

しかし、特別育成訓練コースを利用すれば、訓練の結果も参考にしながら検討できます

最初から適性がある人材ならばいざ知らず、雇用時は適性に不安があっても、訓練によって適性が備わり、正規雇用に転換できるケースも多いです。

これによって、未経験の人材を正規雇用できる可能性も高まります。

未経験でも、意欲的に訓練を受けて知識や経験を積んでいくことにより、十分な戦力になることも多いです。

このように、正社員化コースと特別育成訓練コースを併用することで、安全を確保しながら人材を確保することができるのです。

併給できる助成金は色々あるから、自社に最適な組み合わせを考えていこう。

※キャリアアップ助成金と人材開発支援助成金の併用による人材確保の事例はこちら

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間違った意見も多い

助成金関連の情報サイトを見ると、就職氷河期世代を雇用して安定雇用実現コースしよう、とする主旨の記事も散見されます。

中には、経験が乏しい人材をいきなり正規雇用するリスクには触れず、「正規雇用として働きたくても働けなかった人材は、意欲が高い。正規雇用する価値がある」といった意見もあります。

しかし、これは明らかな誤りです。

意欲は補助的要素でしかない

たしかに、意欲の有無は重要な判断材料になります。

しかし、意欲だけを根拠に正規雇用することは、大きなリスクを伴います。

やはり、会社への貢献度を根拠にするべきであって、極端に言えば貢献は期待できないが意欲だけはある、といった人材を正規雇用するのは間違いなのです。

ましてや、「経験は乏しいが意欲はあるから、貢献度も高いだろう」といった考えは全く荒唐無稽です。

実務を通して能力や適性を見たわけでもなく、希望的観測によって採用しているだけです。

そのような採用活動をしても、負担になるのは目に見えています。

会社への貢献は、人材の能力や適性から生まれるものであり、意欲はそれを押し上げる補助的な要素にすぎません。

 

これは、「能力や適性×意欲=貢献度」といった表し方ができます。

自社の業務に堪えうる能力や適性がない、つまり0に対して意欲が10でも、「0×10=0」です。

能力や適性が1あれば、意欲が10でも10の貢献になります。能力や適性といった要素は、意欲よりもはるかに重要なものです。

 

このほか、

「意欲があれば、指導によって能力や適性を身に着けられるのだから、正規雇用してもよい」

という意見もあります。

しかし、訓練や指導によって育成するならば、会社に負担が生じます。

さらに、それぞれのポテンシャルは異なるのですから、訓練が実を結ばないこともあります。

意欲を根拠に正規雇用することは、リスクの大きいことなのです。

意欲だけで判断しない

たしかに、人材を評価するうえで、意欲も見逃せない要素です。従業員のモチベーションが生産性に大きく関係するのも事実です。

しかし、いくら意欲があるからといって、いきなり正規雇用すべき理由にはなりません。

まず有期契約で雇用し、その後の人事評価で能力・成績・意欲などを総合的に評価し、

「能力もそれなりにあって。成績もそれなりに良いが、意欲が見られず将来的な貢献度は限定的である。よって、有期契約に据え置く」

「当初は能力・成績に不安があったが、意欲的な取り組みによって改善されており、将来にわたって長期的な貢献が期待できる。よって、正規雇用に転換する」

などと判断すべきです。

さらに、有期契約期間に訓練を実施すれば、

「正規雇用の経験は乏しいが、訓練に意欲的に取り組んで、十分な適性も備わった。有期契約から正規雇用に転換して、正社員化コースと特別育成訓練コースを受給しよう」

といった判断もでき、よほど安全で確実です。

冷静な判断を

以上のように、安定雇用実現コースは活用の難しい助成金です。

安定雇用実現コースが経営に役立つのは、条件が厳しく不安要素が多い人材をいきなり正規雇用し、その人材が正規雇用にふさわしい能力・適性・意欲を備えていた場合のみです。

さらに、能力・適性・意欲といった要素を、履歴書や面談といった表面的で不確実な情報から把握していくのです。

そのようなリスクの高い方法で中途採用に取り組むよりも、安全で確実な方法を模索していくべきです。

就職氷河期世代の人材を中途採用するとしても、上記のように、有期契約で雇用し、訓練を実施したうえで判断すれば、リスクを大幅に軽減しながら、戦力になる人材を確保していくことができます。

人材確保でも、資金調達でも、経営全般に言えることですが、色々な方法がある中で、自社に適した方法を選ぶことが重要です。

中途採用における助成金の活用でも、自社に適した方法を選んでいきましょう。

ただ助成金を受給できるからといって、安易な取り組みは禁物だぞ。

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まとめ

本稿で述べた通り、安定雇用実現コースは活用が難しい助成金です。

もし、今後安定雇用実現コースの内容にさらなる変更が加えられ、例えば正規雇用ではなく有期契約雇用でも支給対象になったり、一定期間の有期契約の後に正規雇用すれば支給されるようになったり、助成金の支給額が大きく増えたりすれば、安定雇用実現コースの利用も考えてよいでしょう。

しかし、正規雇用経験が極めて乏しい人材をいきなり正規雇用することが要件になっている以上、安定雇用実現コース以外の方法を模索することをおすすめします。

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社会保険労務士法人ミライズ、代表社員・特定社会保険労務士。キャリアアップ助成金の専門家。受給数1000件以上、多い企業だと1000万円を超える助成金を引き出す。しかも、完全成功報酬型なので受給するまで負担なし。リスクゼロの助成金申請。面倒な書類作成等も全部やってくれるので申請する会社の負担なし。

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